全米新聞協会(API)の調査によると、58%の新聞社がサイトの有料化を検討中で、22%は年内も実施する。経営者は、オンライン読者を排除しすぎることを恐れているため、全記事を一斉に有料化するのではなく、一部を試験的に行うことになるようだ。
例えば、ピッツバーグガゼット紙は、新聞には掲載していない分野やスポーツ・政治の評論を扱う有料サイトを立ち上げた。年間36ドル、月刊3.99ドル。NYのNewsdayは夏にも有料化する予定だったが、いまだに移行していない。
経営者は、データが一瞬で共有されるネット上で、料金を払う読者がどれだけいるのか、量りかねている。しかし、元編集者のAlan Mutterは「実に複雑で、4次元のチェスのような問題だ」と言う。
JournalismOnline有限会社は、1000以上の新聞雑誌と契約し、コンテンツの課金を代行するシステムを準備している。読者はWebや専用デバイスでオンラインコンテンツを購入する際、いちいちクレジットカードの番号を入力する必要がない。同社は20%を手数料として差し引く。
WallStreetJournalを擁するNews社はJournalismOnlineには参加しない。WSJは現在100万人以上の有料読者を持ち、年間103ドル(オンラインのみ)から140ドル(紙も配達)の料金を設定している。同社が所有するNYPostやロンドンタイムズも有料化する予定だ。
NYTimes紙は今秋にも再有料化する。2007年に無料化する直前、コラムなどのコンテンツに年間50ドルを課していたが、有料読者は22万人もいた。
最悪のシナリオは、有料化の収入が広告減少を補うことができない事態だ。一方、最良のシナリオは、有料化してもなお、マーケティング対象になるほど十分な読者数を維持することだ。
もっとも、重要なことは、紙の購読者だけに提供されるオンラインコンテンツがあれば、紙の購読者になってもらえるかどうかだ。無料ニュースをやめる主な理由は、業界全体で350億ドルの広告収入をもたらしてきた紙の価値を維持することにあるからだ。
オンライン広告は昨年31億ドルしかなかった。2005年から2008年まで、新聞広告は127億ドル減少したが、新聞業界のオンライン広告は10億ドルしか増えなかった。
オンライン広告は昨年31億ドルしかなかった。2005年から2008年まで、新聞広告は127億ドル減少したが、新聞業界のオンライン広告は10億ドルしか増えなかった。
一部の経営者は有料化する意図が全くない。API調査によると、回答の44%は有料化は十分な収入増には結びつかないと考えている。
NewsweekのDanielLyons記者は「新聞を救うな。死なせてやれ」と書く。いわく
新聞業界の未来が、スクリーンのピクセルではなく紙とインクにあると考えている奴はいない。新聞を救済するというは馬鹿げている。
新聞救済は、ニュースを救うことにも、仕事を守ることにも、いわんや民主主義を守ることにも全く関係がない。民主主義は新聞以前にもあったし、非民主主義国にも新聞はある。
救済策の唯一の受益者は一部の巨大メディアだけだ。かつては利益と権力を享受してきたが、いまはそれほどでもない。インターネットに対応してこなかったからだ。なぜか。独占に胡座をかいて、独占を守ることに資源を費やしてきた。「読者のために」とは聞いて呆れる。彼らの真の顧客は広告主であり、読者ではなかった。金に窮すると、コールガールが服を脱ぐように潔く「神聖な原則」を捨ててしまったではないか。一面の広告、タイアップ記事。
いまでは、Politico やHuffington Post 、 The Daily Beast 、Gawker などが新聞を叩いている。彼らの方が速く、しばしば優れている。新聞を維持するために彼らを買収すればいいのに、もう余力がない。
最近、NYTimesとWSJの購読をやめた。なぜなら、玄関からゴミ箱へ運ぶのに飽きたからだ。実際、私が読んでいるのは、新聞のほんの一部だけで、それはPCやiPhoneで読むことができる。
率直に言おう。多くの新聞はいけ好かない。命運が心配されているサンフランシスコクロニクルは何十年も頭痛のタネだったし、経営難のデトロイトフリープレスは自業自得。地元のボストングローブは独善的で田舎臭く、大学新聞かと思うほど文章が下手だ。あんな下品で安っぽい新聞がなくなって困る奴なんているのか?
議会の皆さん、どうか、新聞救済なんて狂ったアイデアは取り下げてください。あなた方は新聞を救うことはできない。新聞は死ぬ運命なのです。
この議論の対立を見ると、交通事故を起こした人が担ぎ込まれた病院の医師の話を思い出す。車が衝突して顔をフロンガラスに突っ込んだ女性が、「顔の傷は治りますよね」と言う。医師は「大丈夫ですよ」と答えながら、経験豊富な彼は「直るわけないじゃないか」と内心思う。リアリズムには有無を言わさぬ力強さがあるから、当事者以外の人を納得させるが、実は解決を諦めているにすぎない。DanielLyons記者は「辞め記者」のようだが、何か憾みでもあるのだろうか。







