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あちらとこちらの間

 AP通信のMichael Liedtke記者が「すべてをネットで読みたい? お金がかかるかもしれませんが」という記事をまとめている。いわく、

 全米新聞協会(API)の調査によると、58%の新聞社がサイトの有料化を検討中で、22%は年内も実施する。経営者は、オンライン読者を排除しすぎることを恐れているため、全記事を一斉に有料化するのではなく、一部を試験的に行うことになるようだ。
 例えば、ピッツバーグガゼット紙は、新聞には掲載していない分野やスポーツ・政治の評論を扱う有料サイトを立ち上げた。年間36ドル、月刊3.99ドル。NYのNewsdayは夏にも有料化する予定だったが、いまだに移行していない。
 経営者は、データが一瞬で共有されるネット上で、料金を払う読者がどれだけいるのか、量りかねている。しかし、元編集者のAlan Mutterは「実に複雑で、4次元のチェスのような問題だ」と言う。
 JournalismOnline有限会社は、1000以上の新聞雑誌と契約し、コンテンツの課金を代行するシステムを準備している。読者はWebや専用デバイスでオンラインコンテンツを購入する際、いちいちクレジットカードの番号を入力する必要がない。同社は20%を手数料として差し引く。
 WallStreetJournalを擁するNews社はJournalismOnlineには参加しない。WSJは現在100万人以上の有料読者を持ち、年間103ドル(オンラインのみ)から140ドル(紙も配達)の料金を設定している。同社が所有するNYPostやロンドンタイムズも有料化する予定だ。
 NYTimes紙は今秋にも再有料化する。2007年に無料化する直前、コラムなどのコンテンツに年間50ドルを課していたが、有料読者は22万人もいた。
 最悪のシナリオは、有料化の収入が広告減少を補うことができない事態だ。一方、最良のシナリオは、有料化してもなお、マーケティング対象になるほど十分な読者数を維持することだ。
 もっとも、重要なことは、紙の購読者だけに提供されるオンラインコンテンツがあれば、紙の購読者になってもらえるかどうかだ。無料ニュースをやめる主な理由は、業界全体で350億ドルの広告収入をもたらしてきた紙の価値を維持することにあるからだ。
 オンライン広告は昨年31億ドルしかなかった。2005年から2008年まで、新聞広告は127億ドル減少したが、新聞業界のオンライン広告は10億ドルしか増えなかった。
 一部の経営者は有料化する意図が全くない。API調査によると、回答の44%は有料化は十分な収入増には結びつかないと考えている。

 NewsweekのDanielLyons記者は「新聞を救うな。死なせてやれ」と書く。いわく

 新聞業界の未来が、スクリーンのピクセルではなく紙とインクにあると考えている奴はいない。新聞を救済するというは馬鹿げている。
 新聞救済は、ニュースを救うことにも、仕事を守ることにも、いわんや民主主義を守ることにも全く関係がない。民主主義は新聞以前にもあったし、非民主主義国にも新聞はある。
 救済策の唯一の受益者は一部の巨大メディアだけだ。かつては利益と権力を享受してきたが、いまはそれほどでもない。インターネットに対応してこなかったからだ。なぜか。独占に胡座をかいて、独占を守ることに資源を費やしてきた。「読者のために」とは聞いて呆れる。彼らの真の顧客は広告主であり、読者ではなかった。金に窮すると、コールガールが服を脱ぐように潔く「神聖な原則」を捨ててしまったではないか。一面の広告、タイアップ記事。
 いまでは、Politico Huffington PostThe Daily BeastGawker などが新聞を叩いている。彼らの方が速く、しばしば優れている。新聞を維持するために彼らを買収すればいいのに、もう余力がない。
 最近、NYTimesとWSJの購読をやめた。なぜなら、玄関からゴミ箱へ運ぶのに飽きたからだ。実際、私が読んでいるのは、新聞のほんの一部だけで、それはPCやiPhoneで読むことができる。
 率直に言おう。多くの新聞はいけ好かない。命運が心配されているサンフランシスコクロニクルは何十年も頭痛のタネだったし、経営難のデトロイトフリープレスは自業自得。地元のボストングローブは独善的で田舎臭く、大学新聞かと思うほど文章が下手だ。あんな下品で安っぽい新聞がなくなって困る奴なんているのか?
 議会の皆さん、どうか、新聞救済なんて狂ったアイデアは取り下げてください。あなた方は新聞を救うことはできない。新聞は死ぬ運命なのです。


 この議論の対立を見ると、交通事故を起こした人が担ぎ込まれた病院の医師の話を思い出す。車が衝突して顔をフロンガラスに突っ込んだ女性が、「顔の傷は治りますよね」と言う。医師は「大丈夫ですよ」と答えながら、経験豊富な彼は「直るわけないじゃないか」と内心思う。リアリズムには有無を言わさぬ力強さがあるから、当事者以外の人を納得させるが、実は解決を諦めているにすぎない。DanielLyons記者は「辞め記者」のようだが、何か憾みでもあるのだろうか。

CrunchPadが出る前に

 TechCrunchという指折りのブログを立ち上げたMichael Arringtonも、製品を作る段になると貧弱なベンチャー企業と変わらないことがわかった。8月頭にはお披露目すると公言したのに音沙汰なし。このまま立ち消えになるかもしれない。
 カリフォルニアのフランス人起業家Grégoire Gentilは、Always Innovatingという会社を立ち上げ、TouchBookという製品を作った。彼がArringtonと違うのは、ソフトウエアが未完のまま、とにかく製品の出荷を始めたことだ。



TouchBookCrunchPad
Size9.7*7*1.3inch(Keyboard)12.77*7.83*0.74
CPUARM OMAPIntel Atom 1.6G
memory8GB SD card
1GB
display8.9inch 1024*60012inch 1024*600?
networkWifi, bluetoothWifi + 3G?
buttery10hours?
 CrunchPadと比較すると非力なのは否みがたい。
 しかし、実物があるというのは説得力が違う。既に紙の本を再現したアプリケーションを実現しているのだ。動画では、フランスなまりの英語で「アマゾンのジェフベロスにはKindleの次のバージョンで実現して欲しい」と言っている。ベンチャーには、このような「蟷螂の斧」を磨いてほしい。

 中国からはこんな製品もある。これは少々お高い。

ウイリアム・サファイア死去

NYTimesで「言葉について」というタイトルのコラムを30年以上連載していたウイリアム・サファイア(William Safire)が膵臓がんで死亡した。79歳。リベラルなNY紙にとって保守派のピュリッツァー賞コラムニストは誇りだった。
もっとも、IHTなどにも転載されたコラムは、少々英語が読めるじゃないかと自惚れた、多数の外国人の鼻柱を折ってきたにちがいない。言葉、とりわけ政治家の言葉をめぐる議論は、政治コラムニストが手加減なしで紡いだ文章が、外国人にとっていかに難しいかということを実感させた。逆説的に、非言語情報の重要性を思い知らせてくれた。

straw-man(わら人形、看板候補)やthrow under the bus(責任を負わせる、トカゲのしっぽ切り)the proof is in the pudding (論より証拠)など、政治家の言葉を引用しながら、語源や政治史を紹介する。政治の文脈が分からない外国人には、なぜこの言葉なのか、何がカチンときているのか、全く分からない。日本語の翻訳がほとんどないのも当然だ。

大学を中退して、1959年、ニクソン副大統領とフルシチョフ書記長の「キッチン論争」に係わった。ニクソン政権のスピーチライターになり、ベトナム戦争や米中国交回復、ウオーターゲート事件の渦中にいた。

NYTimesは訃報で、サファイアの「文章のルール」を紹介している。

  1. Remember to never split an infinitive.(不定詞を分割しない)
  2. Take the bull by the hand and avoid mixing metaphors(隠喩の混合を避けよ)
  3. Proofread carefully to see if you words out(書いたら注意深く校閲)
  4. Avoid cliches like the plague (決まり文句をさけよ)
  5. Don’t overuse exclamation marks!!!(びっくりマークを使いすぎるな!)

それぞれが、そのルールを破っているから面白いのだが、このあたりが外国人にはハードルが高い。

take the bull by the horns = (牛の角をつかむように)困難に立ち向かう

CrowdSourcingの教訓

国会議員の経費不正請求疑惑が持ち上がり、ブラウン政権が追い詰められているイギリスで、200万枚の請求書をネット上でチェックする取り組みが行われている。ガーディアン紙は、1週間の開発期間と50ポンドのサーバーレンタル料でこの仕組みを作り上げた。2万人が参加し、最初の80時間で17万枚をチェックした。

ニーマン研によるQ&A記事によると、参加者は請求書を見て「面白くない」「興味深い」「興味深いが周知」「これを調査せよ」の4項目から評価する。トップページにはこれまで何人が何枚チェックしたかが表示される。参加者意識を高めるため、議員のmugshot(雁首)をつけて、チェックの進捗具合が表示される。開始4日後には参加者のベスト10も表示、競争意識を煽っている。開発者のSimon Willisonは「読者が、自分がしていることがどのような効果を持つかを知ることができるようにすることが大切だ」という。


議会が請求書を公開したのが木曜日。「ニュースの重大性は明らかだった。もし木曜日に公開できなければ、勢いが激減しただろう」。テストもインターフェイスのデザインも、サーバーシステムもほどほどにして、当日公開に踏み切った。「読者を使ってデバッグをするというのが現実的だった」
システムはDjangoによって作られた。「RubyでもPHPでも作れると思いますが、Djangoがドンぴしゃでした。このために作られたような物です」。ガーディアン紙では、最初のDjango使用、最初のAmazonEC2の利用になった。企画の性質上、最初に膨大なアクセスがあり、次第に減少していくことが分かっていたので、EC2(アマゾンのサーバーレンタルサービス)で臨機応変に対応することができた。
Simon Willison joins Guardian News & Media

Djangoは管理人も使っているが、フレームワークの根幹を理解すれば(フレームワークとはそういうものだが)、簡単なデータベースサイトは一日でできる。フラッシュも制作者なりのフレームワークがあれば数日で対応できるだろう。驚くのは、そういう人材が(社員として)十人単位のチームで活動しているということだ。日本はほぼ外注、丸投げだろう。(日経は違うかもしれない)

Programmer/Journalistの誕生

 PBSのMediaShiftで、ニューヨークのフリーランサーMegan Taylorが「How Computer-Assisted Reporters Evolved into Programmer/Journalists」という記事を書いている。彼の興味は、テキストや写真ではなく、コードで物語るというのはどういうことか、である。

 【CARの歴史】

 CAR(コンピュータ支援報道)の歴史は、「デジタルウォッチドッグの最初のバイト」という洒落た記事(Scotte Maier)によると、1968年にマイアミヘラルドのClarence Jonesが、「Dade郡の司法システムの腐敗」について書いた記事に始まる。
 ただ、デトロイトフリープレスのPhilip Meyerは、1967年に、デトロイトの暴動に係わった人間は中退者と大学生で差がないことを、大型コンピュータを使った統計分析で記事にしている。
 プロビデンス紙のElliot Jaspinは80年代にIBM PCを使い、プロビデンス郡政府の財務資料を9本のテープで入手し、分析した。彼はその後、コロンビア大フェローになり、データベース化ソフトウエアを開発した。
 ワシントンタイムズのMindy McAdamsは、まだ同紙のWebsiteがない1995年ごろ、データベースを公開した。ワードの文書を加工しただけの簡単な物だった。フィラデルフィアインクワイヤーは警察が持っている犯罪データを公開し、分析を読者に任せた。
 PolitiFactの開発者、Matthew Waiteによると、CARがprogrammer/journalistに発展するのは当然の成り行きだった。

 【必要な技術とは】

 CARの基本は、データを入手し、データベースや表計算ソフトに落とし込み、分析することだ。CARの専門グループInvestigative Reporters and Editorsは、このような技術を広める活動をしている。ArcView(地図上にデータを表現するGISソフト)とSPSS(統計処理パッケージ)も必要だ。
 CARとprogrammer/journalistの最大の違いは、Web開発だろう。シカゴトリビューンのBrian Boyerは、必要な技術としてXHTML / CSS / JavaScript / jQuery / Python / Django / xml / regex / Postgres / PostGIS / QGISを挙げている。(アクションスクリプトがないのが意外だ)

 ProPublicaのChangeTrackerはナイト財団のイノベーション賞を受賞した技術だ。ホワイトハウスのホームページを絶えずモニターし、どこが修正されたかを一目瞭然で分かるようにするソフトウエアだ。記者はどこが更新されたか、簡単に見つけることができる。
 NYTimesのRepresentは、住所を指定すると、地元選出議員の投票行動を追跡できるサービスだ。Django(Python)とPostgres、PostGISを使って実現されている。

 英Guardianの「国会議員の支出をチェックしよう」は、45万枚の支出記録を読者にチェックして貰い、詳しい調査が必要な項目を記者に提案するプロジェクトだ。ニーマン研の取材に対して、「いかにもDjangoで作るのが相応しい」と開発者は語っている。

 NYTimesのDerek Willisは、1)ダイナミックな言語(Python,Ruby,PHP)2)データベース3)好奇心が必要な資質だという。

One in 8 millionの内幕

 今年のマルチメディアコンテンツの金字塔、NYTimesのオーディオスライド「One in 8 million」を制作したチームが読者の質問に答えている。恐らく、関連コンテストを総なめするのではないだろうか。



 リーダーはAndrew Devigal、カメラマンは2006年ピュリッツァー賞受賞のTodd Heisler、係わったエディターなど合計10人。
 【どうやって人々を見つけたのか】Studs TerkelやJoseph Mitchellのようなオーラスヒストリーと印象的な写真を組み合わせることで、ニューヨーカーの「定義」ではなく、「印象」を伝えることを狙った。基準はニューヨークに住み、新聞にはこれまで登場していない人、インタビューや撮影に応じてくれ、なにより、「語り手」であること。思慮に富み、オープンで、個性的な視点を持ち、話し手であり、聞き手であるようなニューヨーカーを捜した。
 【いつ、どうやって取材するのか】一般的には撮影は録音の前か同時だが、この企画では、編集された録音を聴いてから撮影する。インタビューは約1時間、必ず事前に電話で話を聞いておき、テーマを絞っている。Toddは必ず2回以上撮影に訪問している。撮影枚数は500-1000枚。フラッシュは焚かない。
 【なぜ白黒か】最初から白黒に決めていた。技術的には多くの人の横顔を同じように扱うためで、写真説明文を読みやすくする効果もある。
 【装備】録音機はEdirol R-09、マイクはSudio Technica 835bで、理想的には話し手のあごの付近に置きたい。常にヘッドフォンをして、音をモニターした。編集はProToolsを使っている。

驚愕のアグリゲーション


 TechCrunchでプレゼンされたGoogleLabのFastFlipは、アグリゲーションここに至れりというサービスだ。ニュースページのレイアウトをそのまま(画像として)取り込んで、ページをめくるように閲覧できる。すでにiPhone版もできている。(出来はかなり素晴らしい)
 画像にしているから十分速い。windowsでレンダリングしたせいなのか、フォントが貧弱で、Macで見ると惨めな気持ちになる。画像はサムネイルというよりページそのもので、そのまま読めるが、記事が更新されたときにはリンク先に飛んでいく必要がある。
 Googleのハイテク人間でもRSSではやはり不十分だと思っているようだが、十数年前に現れて著作権問題を引き起こした「フレームリンク」の同工異曲。徹底的に著作権を無視する方針らしい。リーマンブラザースのような臭いがする。
 「大手の新聞も賛同している」っていっていたが本当なのかね? オリジナルサイトの広告を省いて、Googleが自分で広告を挟んでいる。いくら便利でも許されないだろう。


 追加:TechCrunchによると、収集を了承した39サイトだけを対象とし、広告収入は分け合うという方針らしい。Googleの強大化と、新聞の藁をもつかむ困窮が10年間の隔たりを感じさせる。それにしてもNYTimesは有料化とどう折り合いをつけるのだろう?

マウスイベント追跡

 マウスイベントの追跡が出来ます
 タッチパネルだと、MouseMoveやMouseOverが実質的に使えない。当たり前か。

Snow Leopard 導入

 ディスクを挿入して1時間程度で見事に導入される。自分でハードウエアも作っているのだから当たり前だ。
 新しいQuickTimeぐらいしか目新しさはないが、アクティビティモニターを見ると、アプリケーションがほとんど64bit化されている。


 問題は、Pythonなども64bit化されているため、32bit用にコンパイルしたmod_pythonやpsycopg2などが軒並み動かなくなる。apacheでLoadModule mod_pythonを設定しているため、大量のエラーを吐き出して立ち上がってくれなくなった。
 注意点を指摘しているブログによると、「標準のOS 10.6のdynamic libraries は 64bit で動作していて 32 bit コードにリンクが張られないことです」とある。MacPortはすでにSnow Leopard対応版を出しているが、port uninstalledで確認できるアプリケーション群は再インストールする必要がある可能性がある。
http://journal.mycom.co.jp/news/2009/09/01/033/index.html


 32bitで運用していたDjangoは、結局、VMware上のUbuntuに移し、Poundで振り分けることにした。

信じがたい調査

自明の質問をアンケートして、自分の意見を補強するという批判は、政府やマスコミだけにあたるものではない。

>>アイシェアは31日、無料のニュースサイトが有料化した場合の読者の反応に関する意識調査の結果を公表した。調査は8月7日から12日まで、同社のメール転送サービスの会員592人を対象に実施した。今回の調査では、米国のメディア大手であるNews CorporationのCEOを務めるルパート・マードック氏が、傘下に持つニュースサイトを1年以内に有料化すると発言したことを受け、日本でも同様のことが起こった場合のネットユーザーの反応を聞いた。
>>無料のニュースサイトを見ていると答えた525人に対して、有料化したニュースサイトの購読を続けるかどうかを尋ねたところ、69.7%が「続けたくない」と回答。「どちらかというと続けたくない」(26.3%)をあわせると、96.0%と9割以上が「続けたくない」と答えた。

公園に関して、同じ質問をしてみれば、馬鹿馬鹿しいことは自明だ。有料化した公園など、誰も使わない。だから、公園は無料であるべきなのか、ディズニーランドのような有料化してでも需要のある公園以外は廃止すべきなのか、結論が両極端だ。常軌を逸している。

FAZの選挙フラッシュ

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総選挙は世界中でトップニュース扱いだったが、ドイツだけは違った。ドイツでも選挙があったからだ。